このゲームはすでに3年間続いており、ルールが突然変更されたが、誰も歓声を上げる勇気がなかった。

2022年6月から、米連邦準備制度理事会（FRB）は世界の金融システムから「血を抜き始めた」――彼らはこれを量的引き締め（QT）と呼んでいる。やり方はとてもシンプルで強引だ。手元にある国債や住宅ローン担保証券が満期を迎えた？再投資はせず、自然に消滅させる。3年の間に、2.4兆ドルがこのようにシステムから蒸発した。

巨大なプールの底に穴が開いて、水位が日に日に下がっていく様子を想像できるだろうか。株式市場が乱高下し、仮想通貨市場が急落し、新興市場の通貨が暴落する——これらの出来事は個別に見えるが、実はすべて同じ原因、「プールの水が足りなくなった」ことによるものだ。

そして2025年12月1日、FRBは「よし、QTは終わりだ。もう水を抜かない」と宣言した。

本来ならこれは良いニュースのはずだろう？しかし市場の反応は非常に奇妙で——依然として流動性が逼迫している。

さらに面白いデータがある。FRBの緊急レポファシリティの利用額が260億ドルに急増し、これは2020年以来2番目に高い記録となった。これはどういう意味か？つまり、もう積極的に「水を抜く」ことはしていないが、銀行は毎日のように「緊急用バケツ」を借りに来ており、しかもその頻度も金額もどんどん増えているということだ。

これは何を示しているのか？システム自体がすでに深刻な水不足に陥っているということだ。FRB自身も、銀行システムの準備預金がほとんど底をつきかけており、これ以上減れば、2019年のレポ市場危機の時のように金融システム全体が一気に「パイプ破裂」しかねないことを認識している。

だからQTは止まったものの、流動性危機はまだ全く終わっていない。蛇口をひねるのをやめただけで、水圧そのものがすでにひどく低い。このゲームは、ようやく後半戦に入ったばかりだ。