STABLEの今回の暴落は、まさに教科書レベルの「天の時・地の利・人の和すべて逆風」というケースです。

まずタイムラインの異常さを見てみましょう。12月3日にTetherがこのL1チェーンのネイティブトークンのトークノミクスを発表し、8日にメインネットがローンチされたばかりで、ちょうど11月末のあの規制嵐に直撃しました――お察しの通り、ステーブルコイン関連資産は一気に監視対象に。新トークンが誕生早々、こんなネガティブな雰囲気を背負ってしまい、市場が受け止める余裕なんてありません。

さらにオンチェーンデータはもっと衝撃的です。24時間の取引量は150億枚に達した一方、エネルギーフロー指標である(OBV)は-14兆まで急落。これが意味するのは、ほぼ全てがパニック売りで、買いが紙のように薄いということ。価格は初期の0.077ドルから0.0176ドルまで暴落し、1ヶ月でなんと67%も下落。典型的なアンロックによる売り浴びせの流れです。

最も致命的なのは設計上の欠陥です。総発行量1000億枚のうち、チームとアーリー投資家がそれぞれ25%ずつ保有。つまり、この50%のトークンがメインネット稼働とともにいつでも市場に投げ売り可能な状態。そしてさらに厄介なのが、このトークンはガス代すら不要で、実用性がほとんどなく、実質Tetherのブランド力だけで成立しているという点。

いま規制の暗雲が立ち込め、ブランドも効かず、トークンも大口に集中、ユースケースも弱い――三重の逆風が重なれば、下落しない方が不思議です。このプロジェクトは運が悪かった、世に出た途端にトラブルに巻き込まれ、実力を証明する前に市場に痛い目を見せられた形です。